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アクティブ投資がダメなワケ
アクティブ投資の成績がインデックス投資の成績に及ばないことはある程度周知になってきています。
簡単に言いかえると、投資のプロが選びに選んだ銘柄群よりもサイコロが適当に選んだ銘柄群の方がパフォーマンスが高いというやつです。
サイコロといいましたが実際は多数の銘柄の平均値です。
Index:指数といった意味。あれこれ銘柄の選ぶのではなく単に日経平均に連動するだけよ~という感じ
そんなバカな!!と言われ続けていましたが長期の実績がそれを証明しました。
■2000~2015年の例
5年間 アクティブ勝率12% インデックス勝率88%
10年間 アクティブ勝率15% インデックス勝率85%
15年間 アクティブ勝率 8% インデックス勝率92%
このことはおそらく100年以上も前からわかっていたのでしょう。
昔は不都合な真実は隠し放題ですから表沙汰にならなかったと考えるのが自然です。
(ネットの普及はやはり大きいです)
もちろん短期ではアクティブ投資がたまたま有利になることもあるでしょう。
基本的には長期になればなるほどインデックスが有利になります。
■新株アクティブファンド VS インデックスファンドの例
1年 アクティブ勝率36% インデックス勝率64%
3年 アクティブ勝率16% インデックス勝率84%
5年 アクティブ勝率25% インデックス勝率75%
10年 アクティブ勝率14% インデックス勝率86%
15年 アクティブ勝率10% インデックス勝率90%
(いや1年目から負けてますやん…)
長期でみるとますますインデックスが有利であることがわかりますが、少しおもしろいなと思ったことがあります。
たまにアクティブの方が成績が良い期間がありますよね?(勝率を少し盛り返した時期)
これは大体リーマンショックの期間にあたります。
株価が暴落する時期は当然インデックスも同じだけ大打撃を受けます。
それに対しアクティブ運用は打撃が少なかったということになります。
つまりアクティブファンドはその頃、リスク回避的でディフェンシブな投資をしており、それが結果的にインデックスに勝利したことになります。
アクティブ投資とは一体なんなのか…、
またやはり人間が選択する以上、投資方針が恐怖にコントロールされていることもわかります。
そしてアクティブ運用は手数料が高いです。
平均値に連動するだけのインデックスよりも、人間が吟味して銘柄を選ぶ分コスト(人件費)がかかるからです。
アクティブファンドが現在何をしているかというと、パフォーマンスを上げるためにインデックス類似のポートフォリオを組んでいます。
負けを認めてるのか?でもあくまでアクティブな厳選銘柄なのでそれでも手数料は多くとります。
極端な言い方をすると、下手くそで、ヘタれで、金だけはとる がアクティブ投資運用です。
ちなみに合理的な金融会社では既に優秀な人材でさえ削減しまくって、ほぼAI任せみたいな状況になっているそうです。
インデックス投資が最強とされるワケ
アクティブ投資がダメなことはわかった。
でもだからといってインデックス投資が最強とは限らんだろう と思いますよね。
ここで現代ポートフォリオ理論が登場します。
要は『限界まで超効率的に投資するにはどうするか』という話です。
例えば皆さんはどの案件に投資しますか?
A案件: 100万円掛かるが、200万円リターンがある
B案件: 200万円掛かるが、300万円リターンがある
C案件: 100万円掛かるが、150万円リターンがある
当然、A案件が正解です。
もしかしたらA案件とB案件で迷うかもしれませんが、同じリターン額であれば基本的にはリスクが低い方を選んだ方が賢明です。
図で示すと…
リスクが低くリターンが多い左上の案件が最も良いということになりますね。
ところで、現実の世界だと“確実に儲かる”案件はなかなかありません。
もしAの投資案件が、『日傘メーカー』の株だとしましょう。
だとしたら上の図はあくまで“晴れの日”限定ということになります。
雨の日であれば、Gの投資案件である『レインコートメーカー』が左上にくるかもしれません。
ということは、A案件とG案件に振り分けて投資すればいいかもしれません。
ただし晴れと雨の確率はちょうど50%づつではないでしょうから、確率と期待値で振り分ける必要があります。
さてこのように上場銘柄3500社をもっとも効率よく振り分けていきます。
無限にある組合せの中でも左上に位置する特定の組合せが決まってきます。
それこそがポートフォリオの最適解で、そのゾーンが下の図で示せます。
はい、わかった。赤線上のポートフォリオで投資すれば効率的なのね。と
そして、さらに追加する項目があります。
世の中にはリスクゼロの案件があります。それは債権ですね。
もちろんリターンも低いです。(今は本当にめっちゃ低いです)
このサイトではリスクフリーレートなどと呼んでいます。
理論上、リスクゼロでリターンがある案件を取り込まない理由はないわけです。
ですので赤線上のエリアとリスクフリーレートを接線で結んであげると…
ここで初めて赤線上の真の最強ポートフォリオが決まるわけです。
この点こそがある意味インデックスです。
未来は誰にもわからない、でも世の中にどんな変化があろうとも、とりあえず今まで大きく勝ち上がってきた優秀な大企業の何百社の平均値をとっておけば安全そうで、リターンも一番ありそうですよね。
だからこそ、わざわざ独自に最強ポートフォリオ等を考える必要すらなく、
日経平均に連動するETFなどのインデックスに投資すればいいわけです。
インデックス投資だけだと物足りない件
まず実績上かつ理論上はインデックス投資が良さそうであることは理解してもらえたかと思います。
ところがインデックスだけではダメだという説があります。
ただし大半は嘘です。
“インデックスはダメだ説”の論者をまず見て下さい。○○証券、投資アドバイザーとかばっかりでしょ。
最初の方にもあるようにアクティブ投資がフルボッコにされていますので必死に体制を整えようとしているだけです。
なんとかして素人に投資信託させないと仕事にならないわけですから。
だけどインデックス投資だけでは物足りない別の3つの理由があります。
理由① 現代ポートフォリオ理論の穴
現代ポートフォリオ理論では、なかなか市場の実態を表せていない部分もあります。
例えば経済学でよくある経済人の存在、つまり全ての投資家は完全に合理化された行動をとる。あるいは確率通り正規分布になる。といった単純化された前提をモデルに考案されています。
しかし実際の経済は不安定で予測不可能です。また合理性から離れ感情にも大きく左右されます。
とはいえ、ある程度数学にも裏付けられた合理的な投資法には間違いありませんので、よく機関投資家にも活用されています。
保険会社の変動保険などの投資法にしても、インデックスと債権の投資の割り振りは良く見られますし、それなりの成果も出ています。
実はこの投資方法は言ってしまえば、短期的にある程度確率の高いリターンが得られる投資なんです。
いやそれなら最高じゃない!と思うかもしれませんね。
ところがどっこい、冷静に考えるとそうでもないんです。
理由② 機能していない債権と意外なリスク
日本の場合、債権のリターンが低すぎるのでほぼ現金で持っているのと変わりません。
つまりさきほどの図でいくとこうなります。
ですので赤線上の中でもかなり左よりのディフェンシブな体制になってしまいます。
①~④の番号を振っていますが、これは現金と日本ETFとの保有比率を表しています。
0 の位置: 100%現金
①の位置: 75%現金 25%インデックス
②の位置: 50%現金 50%インデックス
③の位置: 25%現金 75%インデックス
④の位置: 100%インデックス
④より上の位置: 100%超 インデックス(株の信用取引と債権の空売りを意味します)
最適なインデックス投資法はローリスクローリターンだったのか… ならば稼ぐには極力④の位置に近付けるしかない。
あるいは④を超えて…と思われるかもしれません。
しかし、市場リスクをあまり舐めてはいけません。
インデックスなら比較的安全だから、といって全額を投資してはいけません。
投じた2000万円がわずか1年で1000万円になってしまうことも平気であります。
投資するなら現金比率多め、投資するなら分割購入が基本です。
少しの貯金を残して、あとは全額をインデックス投資して、配当も全部インデックス再投資して資産家だ!
というのはおそらく投資経験のない初心者の意気込みに過ぎません。
いや本当にそれを実現できるパワー、資産が暴落して数千万円凹んでも全く動じない胆力があるなら、あるいは成功するでしょう。
そんなことが投資経験の乏しい年収せいぜい数百万円の我々に出来るのか?が問題なのです。
もちろん業者に任せて強制的に積み立て式にすることも可能です。
しかしそれはあまりに手数料と解約制約が大きすぎる。
理由③ 寿命と元手
確かに長期間インデックス投資をすると資産を形成出来ると思います。
マーケットの成長を貨幣に変換しているわけですから、世の中の発展とともに資産も増加する。
ある意味、自然の摂理です。
ですが、我々には寿命があります。30歳から投資をはじめて、利益をひたすら再投資し続ける。
死ぬ間際になって元手の1000万円が6000万円ほどになっていたとして果たしてどうなんでしょうか。
※元手が100万円ならたかが600万円です。
順調に増えていればまだしも、最初の3年で運悪く1000万円が500万円になってしまうこともあります。
その500万円を1000万円に戻すのに一体何年掛ければいいのでしょう。(20年?)
もちろん積み重ねが大事です。世代を超えてやればほぼ間違いなく億万長者になるでしょう。
誰もやりたがないことをやり抜くことが重要です。それはわかっている。
だけどちょっと金額のしょぼさにガクゼンとしませんか?
そうなんです。インデックス投資は実は『機関投資家』『既にビジネスで成功している人』『元々資産がある』人たちに有効な投資法なのです。
既に2億円ほど持っているのであれば、死ぬ間際には10億円ほどになっています。
それなら配当金も含め悠々自適に気ままな生活を送れるでしょう。
(もちろんお金だけが幸せではないですが)
結局どうすればいいのか?
ということは、やっぱり一発逆転の投機(ギャンブル)がいい! というわけではなく。
(当サイトでは投機は一切禁止です)
まず日本ETFより、様々な理由で勝るインデックスがあります。
みなさん御存じ、米国インデックスのS&P500です。
これなら過去30年で指数が10倍に増え続けているという実績があります。
長期積立ならやはりS&P500が魅力的です。
一昔前と比べてネット証券で(比較的)簡単に買えます。
ただし、外国品なので為替リスクと売買手数料には注意しましょう。
(円建て買いをするといきなりけっこう損しますよ)
あとは、最低限のキャピタルゲインを狙うしかありません。
その狙い方についてはこちらを参照。
莫大なリターンを生む銘柄選びの4ステップ - とある投資のインデックス
自身の生活スタイルに合わせた、庶民式の投資法を確立しなくてはいけません。
お金のある人や経営者が成功するだけの確実な投資術ではなく、それなりにリスクもあるが、最悪でも破綻はしない一般人向け投資術を開発する必要があるのです。
色々勉強して、自分の資産や仕事スタイルとマッチさせた方法を探求していきましょう!