目次
今回は教訓です。まだ大損をこいたことがない人はこれを読んで体験の糧にしてください。
大損した理由① 投機に手を出した
アベノミクス以降の金融プチバブルで多くの投資家の資産が増加したと思います。
銘柄なんて何でもいいから適当にいくつかに分散して500万円ほど株を買っておくだけ。
誰だって1000万円は軽く到達、うまくいけば2000万円程度には膨らんでいたでしょう。
でも500万円を適当な株にぶちこんで放置。こんな簡単なことが実は一番難しい。
これが出来れば誰も苦労しないわけですよ。
2013年頃は、大型株が上昇するよりもまず不動産株や小型株に火が付きました。
特にバイオ株や携帯ゲーム株が1か月で2倍、3倍と上昇していきました。
投資をしている人にとって、やはり急高騰中のセクターは気になるものです。
自身の保有株は下がりこそしていないものの、せいぜい数%UP程度のちまちましたもの。
一方隣の芝生では連日ストップ高だなんだのお祭り騒ぎです。
まずこれが第一の罠です。
この状態になると健全な投資ではありません。ただのチキンレースのギャンブルです。
次々に参加してくる新規参入者に高値でバトンを渡している状態で極めて危ない。
参加者で金を奪い合っているだけですから、相場を動かせるような資金筋がある程度支配します。
一般参加者はなけなしの資金の取られてしまいます。
しかし中には、早期に参加しうまく売り抜けた人たちもいて、そういう人がぼろ儲けの甘い話の体験談をあちこちで語るわけです。
もちろん『そのような甘い話は無い』とか『地道が一番の近道だ』とか頭の片隅にはありました。
村の長老のお告げや、いぶし銀の職人の遺言のような固い話を誰しも聞いたことがあるはずです。
だけど株式投資で一攫千金を夢みる私の耳には届かなかったのです。
そして当初投資していた資金をすべて引きあげて、投機うごめく世界に飛び込みました。
様々な新興株や信用取引、そしてFXにも手を出しました。
大勝もしましたが大負もしました。100万円得した100万円損しただのやっているうちに気が付けばお金が増えるどころか減っている。
(今思えば資金がゼロにならなかったのは幸運かもしれません)
結果、当初に投資していた地味な銘柄は倍以上になっていたのに私の資金は減っているということになりました。
機会損失という意味ではこの時点で1000万円近いダメージですが、実損という意味ではそこまで大きなことではなかったのです。(100万円程度?)
次の悪夢に比べれば…
大損した理由② 空売り
実直な長期投資が徐々に実をつけ始めたころ、以下の2ケースでやらかしてしまい、一般人にとってはなかなか負担の重い700万円級の損失を出してしまいました。
ケース1: よく知っている業界への空売り
たまに仕手株(マネーゲームの対象)のように急遽謎に暴騰する銘柄があります。
その時も、とある銘柄が新聞紙面やニュースリリースなどの発表を起点として上がり始めました。
株価が上がり始めたことをきっかけに新規参入者も増え、有名ブログでも取り上げられ出しました。
それがさらにイナゴを呼び、革新的次世代技術だ!10倍も夢じゃない!だの騒ぎになっていました。
まぁここまではよく見る風景だと思います。
しかし、私は知っていました。それが革新的技術でもなんでもなく実用化には程遠い絵空事だということを。
それを知っていたのはたまたまです。たまたま私の仕事に近しい話で私がマーケットより少し詳しかっただけの話です。
その時、私はこう思いました。
いずれ株価は元値に戻るはずだ と。
そこで空売りを入れる意思決定をして、50万円ほど信用売りを掛けました。
元値に戻れば10万円ほどのお小遣いにはなるだろ という軽い理由です。
しかし、株価は逆にぐんぐんと上がっていきました。
上がれば上がるほど後の急転直下がくるだろうと思い、私は50万円、また50万円と売り増していきました。
おそらく株においてこれが最も危険な行為だと言えます。
スキャンダルの発覚等により買い手が一人もいないような暴落の恐怖は凄まじいものがありますが、空売り状態における暴騰の青天井の恐怖は前者の比ではありません。
買いは家まで、売りは命までという格言もあるくらいです。
※最悪の場合、買い株では家を失うリスクがあるが、売り株では命までを失うリスクを加味せよ という意味
通常であれば、早期に損切りしていたと思いますが、マーケットよりも情報に詳しいという謎の自負が損切りの判断を狂わせました。
今ならわかりますが、はっきりいって市場の短期のマネーゲームでは、その暴騰のきっかけとなった新技術が本物とか偽物とか、事業として成功するとか失敗するとかは全く関係ありません。
短期筋にとってそんなことはどうでもいいのです。ただその株価乱高下の熱狂の中で自分が利ザヤを稼ぐことにしか興味がないのです。
倍々式に損失が膨らんでいき、さすがに青ざめました。
それでも市場の熱が冷めることを信じて今までのさらに倍額の売り増しで勝負を賭けました。
ただただ明日下がってくれることだけを祈るのみです。
(しばらく堅実に投資してきた人間がたった1週間やそこらで、まるで漫画カイジのように追い込まれるのです)
そして運命の翌日…
現実は残酷です。あろうことかストップ高となりました。
そこで完全に心が折れて、次の日の寄り値で全て損切り(買戻し)しました。
(こういう奴がまた株価を押し上げる要因になるという、皮肉なものです)
結果的に自身最高負け金額である約400万円の損失を出してしまいました。
ちなみに損切りした銘柄の株価は、さらに少し上げたのちに徐々に下がりだし、2~3か月後には株価は暴騰前の元の水準まで戻っていました。
これは長期では予想できることではありながら、暴騰の最中には対応できるものではありませんでした。
ケース2: マクロ経済判断と日銀への宣戦布告
2018年頃からいよいよ日銀の買いオペする市中国債も枯渇してきており、アベノミクスによる量的金融緩和と円安に頼った株価の高騰も一段落するだろうと考えました
他に景気低迷を思わせる要素として、オリンピック需要の終了、緊縮財政の継続、働き方改革による残業規制の強化、外国移民の受け入れ強化など。
さらに日本の景気を徹底的に底冷えさせた消費増税(10%)も確定し、頼みの綱の外需も減り始め、アメリカでは逆イールドが発生(景気後退のサイン)しました。
2019年にはマクロ経済でこれだけの悪化要因が出揃ったので、個別銘柄を長期保有しながらもリスク低減と収益拡大のため、大型株で空売りを仕掛けました。
仕掛けた銘柄は、半導体、小売業、建設業など5銘柄で500万円程度です。
過去に空売りの手痛い失敗があるので、さすがに注意深くはなっています。
とはいえ大型株であればさすがに2倍や3倍に上昇することはないだろうという考えと、
何があっても半年間売り増しも決済もしないというルールを定めました。
つまり短期の値動きに動じず、半年後だけの株価だけと勝負するという意味です。
私自身マクロ経済の分析と予想にはそれなりの根拠があり、自信がありました。
しかし、一つかなり重要なことを見落としていたのでした。
半年後の結果…
半導体セクターを中心として銘柄によっては2倍ほど株価が上昇してしまいました。
もちろん結果は惨敗。300万円ほどの損失を出しました。
(ちなみに1:保有小型株は全く上昇せず…)
(ちなみに2:損切してまもなくコロナショックの大暴落が起きました)
2019年後半の株価が上昇した要因として、5G投資や、米中冷戦の緩和等という意見があります。
それは一要素ではあるかもしれませんが、いうなれば後付けです。
私が見落としていた要素ではありません。
見落としていた重大な要素とは何か。
それは、実体経済と金融経済がほとんどリンクしていないということです。
従来は、実態経済に半年ほど先駆けて金融経済が動き、タイムラグはあるものの基本的にはリンクするというのが定説です。
つまり株価が下がった半年後には実際の経済も悪化してくるという動きです。
従って1年後の実態経済をマジョリティよりも予想することが出来れば、株価の下落も少しは予想できるという考えです。
しかし中央銀行の大幅介入と資産家と庶民の格差拡大によって、どうも近年はその動きが連動しないどころか逆行したりするのです。
小型株がほとんど上昇せずに大型株が上昇した要因としては、日銀の買い支えの流れが考えられます。
国債の買いオペを出来なくなった日銀がETFや大型日本株を買い支えているのを柱に、ヘッジファンドやGPIF等の大口顧客が投資を拡大する。
それに続いて小型ファンドや外国人投資家が投資を拡大する。といった流れです。
どうも現在の環境における金融政策は、国民所得を増やすのはなく、マネタリーベースの拡大を後ろ盾に、主に資産家の資産価値を向上することに費やされている様です。
マクロ経済における、緊縮財政の推進と誤った経済学と貨幣観については相当根深いものがありそうです。
しかし何はともあれ、そういった背景を考慮せず、無謀にも安易なマクロ経済分析で、日銀様に対抗したおかげで大火傷を負ってしまいました。
以上のことを反面教師に、皆さまが大損をしないように伝えるとしたら2点です。
- 投機に手を出さない
(機会損失や時間ロスなど見えない損失もでかい) - 謎の自信が一番邪魔
(短期の動きは推測不可能)
おわりに
結局、お金への執着は他人との比較の影響がかなり強いです。
みんな貧しければ何にも不満に思わないのに、格差があるから不満が析出する。
他人がどんどん豊かになっていくのは、自分がどんどん不幸になっていくように錯覚してしまうのです。
逆に自身の収入や会社の業績が悪くとも、周囲全員もどん底であれば、気持ち的には多少なりとも楽になるのではないでしょうか。
幸福は他人との比較では決してないと思います。ましてやお金でもない。
しかしそうであるかのように錯覚するパワーが強いことも事実ではないでしょうか。
投資だけに限りませんが、最後は自分の内面との勝負なのだと思います。
時には大失敗することもあると思いますが、試行錯誤しながら改善を続けていき、自らの精神を磨き上げていくことで人生を豊かにしていきましょう!
以上、株で大損こいた下手クソの経験談でした。