とある投資のインデックス

投資とは何なのか、儲けの先にあるもの

適正な株価を導く方法

 

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株価はどうやって決る?

 

ソニーの株価が5000円突破!とかよく言いますが、株価がいかにして決まるのか、ご存じでしょうか。

 

そりゃあ、株を売りたい人と買いたい人の妥協点で決まるんでしょ。と思われるのではないでしょうか。

もちろんそうやって変動しながら相対的に決まっていくのですが、実は絶対的な指標もあります。

 

例えばA社の株は、大体いくらくらいが適性株価なの?ということがわかれば、その適性株価より安いところで買って、高いところで売れば、儲けられると思いませんか?

 

ということで株価が決まるメカニズムをみていきましょう。

 

まずは、いきなり勘違いしやすいポイントですが、株価は1株当たりの配当額によって決まります。

配当が株価によって決まるのではありません。

 

投資家目線でいくと、このA社株は『株価が現在1株5000円で配当率が3%』とみて、つまり200株(100万円)投資すると、毎年3万円のリターンがあるな、と思うわけです。

だけど企業側が『現在の我が社の株価は5000円だから、配当率3%くらいでいっとく?』みたいな決め方はしません。

 

まず1株当たりの配当金額を企業側が決めます。配当金の源泉はその企業が法人税を支払った後の純利益額です。

例えば企業が、今期120万円儲かったぜ!とするとそこから営業外収益や特別損益を差し引きます。そして差し引き後に100万円になったとします。

この100万円税引前純利益です。

ここから法人税が取られます。法人税率が30%とすると(ちなみに現在は23.4%)30万円取られます。

つまり経営者からすると、多額の営業利益を出しつつもなんやかんや調整して税引前純利益を低くすることで、取られる税金をいかに少なくするか。

あるいは政治家に働きかけて法人税率をなんとかして引き下げるかにやっきになっているわけですが、それはまた別の話。

 

ともあれ残った70万円純利益です。

そこからどれくらいを(自分達を含めた)株主に割当てるのかを考えて株主総会や取締決議で配当金額を決めます。

これが配当性向と呼ばれます。配当性向40%とするなら70万円の内、28万円を株主に配り、残り42万円を剰余金(貯蓄みたいなものです)に回します。

28万円は株主で山分けされるので、株式総発行数がもし2800株ならば、1株当たりの配当金は100円となります。

 

さてめでたく配当金が1株100円と決まりました。

次にこの会社に投資する人が、『配当金が1株100円か~、この会社はタピオカメインだから、少し危険かも?せめて年率10%は欲しいなぁ』

と考えれば、100円÷10%=1000円 株価は1000円で買いたいわけです。

投資家側からすれば、1000円投資して年100円配当されるから、期待収益率は10%ですね。

また別に投資する人が、『配当金が1株100円か~、タピオカ以外にも斬新なレストラン経営も始めてるし、そもそも昔からのカフェ事業が安定しているし、年率3%でも十分だね』

と考えれば、100円÷3%≒3333円 株価は3333円でも買いたいわけです。

投資家側からすれば、3333円投資して年100円配当されるから、期待収益率は3%ですね。

企業側は、うーんじゃあ1株2000円くらいでどうすかね?と売りに出せるわけですが、上場企業の場合は、何千何万人という投資家の思いこみでちょうどいい塩梅の株価に勝手に定まっていくわけです。

 

ここでのポイントは、以下の2つです。

①その会社の1株当たりの配当額はいくらなのか。

②その会社の年間期待収益率はいくらなのか。

 

①配当額はいくらなの

 

世の中には1株当たり100円とかの配当金のみを目論んで投資している人だけではないですよね。

多くの投資家が、株価自体の上昇を目論んで投資しています。

・1年に100円の配当金=インカムゲイン

・1年に100円の株価上昇含み益=キャピタルゲイン

この両方に期待しているわけです。

短期的な投資家であれば、ほぼキャピタルゲインが目的でしょう。

ですが前にもお伝えした様に、この両者は本質的には同じものです。

株主への還元方法が異なるだけです。

短期で儲けたい人はお帰りください。永久不変の『投資の極意』 - とある投資のインデックス ★株価が上がるメカニズム参照

 

配当金がゼロという企業も多く存在します。

配当金が0だと、期待収益率が何%であっても株価も0になってしまいますが、

配当金0÷10%=株価も0円?

もちろんそんなことはありません。

企業が成長して稼げる力が増大すると企業の価値が上昇します。

ですので、もし配当金がゼロであっても、株価自体が上昇しますので、その含み益で株主には還元されるわけです。

 

例えば株価2000円の企業があったとして、投資家は毎年(例えば)100円の配当金によるインカムゲインと来年には株価が(例えば)2100円になっていることによる100円のキャピタルゲイン、合計200円を期待しています。

その会社の配当金がゼロだとするならば、インカムゲインの期待は0円だが、逆に株価は2200円になっているだろうという200円のキャピタルゲイン、やはり合計200円を期待しています。

 

ですので、ここでいう企業の配当額とは、いわゆる配当金のことのみを指すのではなくその企業が与えれてくれる1株当たりの恩恵の全て(優待等も含む)と考える必要があります。

 

②期待収益率はいくらなの

 

期待収益率とは、この企業だったら、これくらいの利率は欲しいっしょ! という数字です。

 

まずCAPM(Capital Asset Princing Model)=資本資産形成モデル について知る必要があります。

CAPMは“キャップエム”と読みます。投資の教科書のド定番の理論なので知っておいて損はありません。なので簡単に説明します。

 

その企業の期待収益率rE=rf+β(MrE-rf) という式で出されます。

この式を見るとうんざりするかもしれませんが、実はものすごく簡単です。

 

要は、その企業のリスク = マーケットのリスク × 危険係数 というだけの話。

マーケット(TOPIX等)に10のリスクがあります。

その企業の危険係数はです。

その企業のリスクはいくつでしょうか? 答 10×2=20 ということです。

 

リスクにはその分リターンがつきますので、リスクプレミアム(rp)と呼びます

つまり 企業rp = 市場rp × 危険係数 となります。

 

さて、また世の中には無リスクでのリターンもあります(リスクフリーレート)

リスクプレミアム(rp)リスクフリーレート(rf)を加えると期待収益率(rE)になります。

記号にすると、rp+rf=rE です。rp=rE-rf とも展開出来ますね。

 

企業rp = 市場rp × 危険係数 ・・・・① 

 rp=rE-rf・・・・・・・・・・・・・②

 

①と②から、※危険係数はβとされます

企業rE-rf=市場rE-rf ×β

企業rE=rf+β(MrE-rf)  ※市場(Market)の期待収益率rEをMrEとします

となります。

 

算出過程はどうでもいいとして、例えば

リスクフリーレート(rf) : 1%

市場の期待収益率(MrE) : 4%

危険係数β      : 1.5  とすると

企業rE = 1+ 1.5 ( 4 - 1) = 5.5  

つまりその企業の期待収益率は、5.5%と決まるのです。

 

β値はなかなか定めるのが難しい(有料情報だったりする)ですが、過去の値動きからおおよそ決まります。

東証一部上場銘柄ならβ=0.5~1.5あたり

マザーズならβ=1.0~2.5あたり

もしβ=3.0だとかなり過激な銘柄です。

IPO株とかだとβ=7.0とかも有り得ますが、通常はβ=2.0を超えるとかなり値動き(リスク)は激しいです。

 

例えばソニーのβ値は現在、0.85となっています。

ソニー期待収益率 rE=rf+β(MrE-rf) で計算してみると、

リスクフリーレートはほぼ0%、マーケット収益率は4%程度とされているので、

ソニー期待収益率 rE=0+0.85(4-0) =3.4% ってところでしょうか。

 

いよいよ株価を算出する

 

①その会社の1株当たりの配当額はいくらなのか。

②その会社の年間期待収益率はいくらなのか。

 

がわかれば、株価もわかります。 単純に①÷②でOKです。

 

①が300円で、②が5%であれば、300÷0.05=6000円(株価)です。

①が1000円で、②が10%であれば、1000÷0.10=10000円(株価)です。

 

例としてソニーの場合、配当金は現在50円/株で、先ほど期待収益率は3.4%としましたので、

50円÷0.034=1471円 となります。

しかし、実際の株価は 11/5現在 9000円OVER。一体どういうことでしょうか?

 

上の式は、実は『ゼロ成長モデル』です。つまり全く成長しない企業という前提の場合です。

 

しかし先にも述べたように、投資家は目先の配当金だけに期待しているわけではなく、その企業の成長に期待しています。

つまり規模が拡大したり収益性が向上したりすることで1年当たりの配当額(あるいは時価総額)がどんどん増えていくだろうと推測しています。

 

その場合、

①その会社の1株当たりの配当額はいくらなのか。

②その会社の年間期待収益率はいくらなのか。

 に加えて

③その会社の成長率はいくらなのか。

という要素が追加されます。

式は簡単で ①÷(②-③)です。 

数式の証明はこちら。株価計算資料室 - とある投資のインデックス

 

もしソニーが、年率3%で成長するとすれば、

50÷(3.4%-3%)=12500円 となります。

つまり、現在9000円程度ですが、まだ株価は上がる余地があるということになります。

 

もしソニーが年率2%の成長しか出来ないのであれば、

50÷(3.4%-2%)=3571円 です。随分と結果が変わりますね。

 

現在の市場では、50÷(3.4%-X)=9000円なので、X2.84%

おおよそ2.8%強の成長が見込まれているのでしょう。

しかし市場の期待収益率やβ値のブレにも左右されるのでなかなか正確な精度で出すのは難しいところではあります。

 

ともあれ、個別株でがっつり利益をとって儲けるポイントは、以前に申し上げた通りと同じ結論になります。

つまり、その企業の成長を市場の予想よりも高く信じられるかどうかに掛かっています。

結局これだけなのです。

 

ということは、地味な過小評価の企業の成長率を誰よりも早く見抜き、目標株価を定めて早めに仕込むという戦略が有効になります。

まぁいつまで経っても知る人ぞ知る銘柄(市場の誰にも評価されない)というオチもありますけど。

でもいつかブロガーやインフルエンサーなんかが取り上げて一気に噴き上げることもありますよ。

 

もう一つ例を出します。日本たばこ産業(JT)です。

なんとJTは2020年11月現在、配当率が7.5%もあります。(全銘柄で1位の高配当率?)

つまり1000万円投資しておけば、毎年75万円のお小遣いがチャリンチャリンと落ちてくるわけですね。

6000万円投資すれば、毎年450万円。税金を引いても手元に360万円残ります。

もう一生仕事をやめてもいいですね。これはなかなか魅力的です。

 

しかしなかなかおいしい話がないのが世の常です。

 

JTの2020年予想配当額は154円/株です。β値は0.52。(期待収益率は2.1%)

 

つまり、JTがゼロ成長モデルとするならば、154円÷2.1%=7333円の株価の価値があります。

もしも1%/年でも成長してくれるならば、154円÷(2.1%-1%)=14000円となります。

 

ですが、今のJTの株価は2000円前後をうろうろしています。

え、どういうこと。むちゃくちゃお得ってこと? 

いいえ違います。

 

皆さんが容易に想像できるように、『タバコ産業』の未来は決して明るくはないでしょう。

成長すると思う人はまずいないと思います。

むしろ衰退するとほぼ言い切れるのではないでしょうか。

つまりそういうことです。成長するのではなく、マイナス成長するのです。

成長率を逆算して計算すると、

154÷(2.1%-X)=2000円なので、X△5.6 となります。

つまり皆が、5.6%くらい毎年衰退するだろうと思っているわけです。

 

実際のところ5年ほど前までは4000円程度でしたから、たった5年で株価は半額まで下落しています。

これは△13%/年 レベルの下落です。こんなに株価が下落しては、いくら7.5%/年の配当をもらったとしても、全く割に合いません。

 

しかしこれも考え方次第です。

・毎年5.6%程度の衰退に対し、ここ5年はそれ以上に株価が下落した。

・さすがにここからの下落はもっと緩やかになるのではないか。

・お国の会社だからまさか潰れることはないだろう。

・電子タバコなどで画期的な新商品が出るかも

・別の事業の多角化で成功するかも

等と考えれば、やはり7.5%の配当は魅力的だ!投資するなら今だ!とも言えます。

 

ただし業績不振などによって、肝心かなめの配当額や配当性向が削減された時のショックには要注意だと思います。

結局このリスクが怖くて手が出しにくいというのが現状でしょう。

 

 

いかがだったでしょうか。

皆さまも配当額と期待収益率と成長率から、独自に株価予想をしてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

成長性の見極め方についてはまた今度にでも。

 

マル秘: ちなみにβ値ですが、ロイターの個別指標から見れますよ。

     http://jp.reuters.com/