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本当のお金の話⑤ 税金の役割ランキング トップ4

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さて、回りくどくなってしまいましたが、今回は「税金」の話です。
「税金」の話といっても、日本の税収が~とか、節税が~とかそういった次元の話ではないです。
もっと経済の根幹を支える真相の話です。

前回に答えとして、「税金は財源ではない」かつ「税金は絶対に必要不可欠」ということです。とお伝えしました。
「日本は財政破綻しない」という前知識を加味してお伝えしていきます。

 

 

【前回まで】
本当のお金の話① 仮想通貨の根本的な勘違い 
本当のお金の話② 経済成長により目減りするお金
本当のお金の話③ デフレーションにより20万人が余計に死んだ
本当のお金の話④ なぜ日本が財政破綻しないのか 

 

目次

 

税金の4つの役割


税金の役割は主に4つです。
どれも非常に重要です。

 

1.租税貨幣論

2.ビルトインスタビライザー

3.所得再分配

4.ピグー税

 

これについてランキング形式で説明していきます。

 

税金が果たす重要な役割 トップ4!

 

第4位 ピグー税

 
ピグー税というと聞き慣れないかもしれませんが、環境税といえばどうでしょう。
世の中は普通、商売などを自由にさせておくと勝手にほどよい感じでバランスが釣り合っていきます。(パレート最適といいます)
しかしそのバランスが時として釣り合わないこともあって、結果として全員が損をするような事態が生じます。(市場の失敗といいます)

例えば、ガソリンです。
もしガソリン税がなければもっと自動車の利用が普及するでしょう。
そうなるとCO2の排出量が増えてしまいますし、交通渋滞が多発してしまいます。
渋滞多発により運送が滞ってしまえば結局皆が困ってしまいます。
だからガソリン税を設けることで、むやみに車で出かけることがセーブされるわけです。
公共機関の方が価格が安いとなれば、公共機関の利用が増え、環境にもやさしくなります。

お酒もそうです。もしお酒が無税で、全て半額になったらどうでしょう。
喜ばしい人もいるでしょうが、明らかに国民全体の飲酒量が増えて、健康被害、犯罪や事故などが増えてしまうでしょう。

その他にも公害対策、魚の乱獲、はたまた固定資産税なども市場のやりすぎを防ぐピグー税として利用されています。

つまり罰金(税金)という規制を設けることで、全体最適化を図っているわけです。
あくまで全体最適化が目的であって、別に政府がお金を欲しいとか、意地悪しているわけではないということに一定の理解が必要です。

 

ピグー税: 罰金で社会全体をよりよくする役割

 

第3位 所得再分配


お金持ちほど税金が多く取られる。なぜでしょうか。
いわゆる累進課税制度ですね。何のためにそんなことをするのでしょう。

例えば、年収500万円の貴方と、年収10億円のスーパースターがいるとしましょう。
そのスーパースターは、あなたよりも200倍頑張っていますか?
もちろんスーパースターはとてつもない努力をしているでしょう。
でもさすがに200倍の時間を努力し、200倍の労働をしているってことはないでしょう。

また例えば、スーパーアスリートの1位と2位で能力差は1.1倍もないと思いますが、年収は10倍の差が生まれるかもしれません。

この世では、顧客集中の現象により収入に関しては指数関数的に差が開きます。それは努力や才能だけでなく、運的な要素も強く存在します。

そして一度富裕層に入ってしまえば、情報の寡占によって儲けが儲けを呼ぶ構造となり、さらに貧富の差は開いていきます。

にも関わらず税率が一律30%だとしたら。
あなたの手取りは350万円となり、スーパースターの手取りは7億円となる。
それで納得出来ますか?

まぁこれは成功者からしたら、「たまたま稼げている」なんて認めたくないでしょうし、「俺は200倍の努力をしている」などと思うのも無理はないでしょうから、累進課税については納得出来ないかもしれません。

 

だけど全体最適の観点からするとそういうわけにはいきません。
なぜなら貴方とスーパースターとでは消費性向が違うからです。
消費性向とは収入に対する支出の割合です。
例えば、金持ちだってカツ丼を一杯食えばお腹は満たされます。
もし仮に200倍の努力をしてたからといって、1食でカツ丼を200杯を食べることは不可能です。
これによって何が起こるかというと、不景気が起こります。

極端な例として、
A: 100人が日給1000円、1人が日給100万円
B: 100人が日給1万円、1人が日給10万円

という2パターンの世界があればどうでしょうか。
どちらも支給された総額は110万円で同じです。
だけどみんなたくさんお金を使って経済が回るのはBパターンの世界だとは思いませんか?
もしAパターンの世界だと多くの人が1000円しか使えないので総消費金額は大したことにはなりません。

だれかの消費は誰かの収入なのです。

低所得層の消費が少なくて困るのは高給取りも同じです。(大多数の低所得層の消費金額も高給取りの収入源だからです)
経済が回らなければ顧客から収入を得ることもできなくなってしまいます。

だからBの世界みたいになるように「税金」に累進課税制を設け、それで徴収した税から低所得層に補助・再分配することで均衡化を図るのです。
それが運ゲーの「平等化」にもなって、かつ「全体最適」なわけです。

かつて日本で一億総中流という時代がありましたが、地方の活性化や公共インフラ投資が旺盛で高度経済成長に繋がりました。
所得再分配税制だけで高度成長を成し遂げたわけではないと思いますが、消費性向の観点から格差の是正は国家全体の繁栄としては重要です。

税制に対して、金持ちいじめとか、金持ちが損をするとか、政府が税金を取って無駄に使うとか、別にそういう意見自体はあってもいいと思います。

ただ会社を何社経営していようが、国家のインフラ(警察、道路、水道、電気、通信)におんぶにだっこ、先人達の積み上げた基盤(職業の自由、選挙権、法律、安全、医療)の上で運良く成功しただけにもかかわらず、まるで自分の腕一つだけで資産を築き、脱税や国家批判をしているような人を見ると、「かわいそう」に思ってしまいます。

もちろん、何でもかんでも金持ちから金を吸い上げろなんて思いません。
成功者には裕福な暮らしを享受する権利があります。
そうでないと誰も努力しない世界になってしまいます。(それは全体非最適)
だから生活保護の不正受給や、世代間の福利厚生格差などは、それこそ政治家や国民の努力によって、是正していく必要があると思います。

 

所得再分配: 格差税制で全体最適化を目指そう

 

第2位 ビルトインスタビライザー

 
「組み込まれた安定化装置」とでも訳されます。
税金には自動的に景気をいい感じに調整する機能があるのです。

インフレ・デフレの章でもみてきましたが、デフレはもちろんのこと、極端なインフレもダメなわけです。
インフレ率が行き過ぎたなら、冷水をぶっかけて景気を冷やさないといけません。
累進課税にしておけば、お金を儲け過ぎようとするインセンティブは抑制されます。
赤字なら税金を払わなくていい としておけば、不況からの立ち直りに役立ちます。

先ほどの「所得再分配」の役割を「格差是正」で国家の効率的繁栄政策だとするなら、この「ビルトインスタビライザー」の役割は「景気是正」で国家の長期的繁栄政策に相当すると思います。

 

ただし「消費税」は少し変わった税制度です。
誰もが絶対に行う「消費活動」を抑制することが目的の税制度です。
景気(消費)の抑制という意味では効果は抜群ですが、かなり「不平等」な税制です。なぜなら貧乏人と金持ちではそもそも消費性向が大きく異なるからです。
つまり貧乏人側に厳しい税制度で、逆累進性があるということです。
なので、「格差を拡大したい」という目的があるなら導入すべきでしょう。

「税制自体」には良いも悪いもありません。
それを行う判断が今の社会状況に合っているかどうかだけの話です。

 

景気調整機能といいましたが、実はもっと率直にいうと、

要は「インフレ防止」です。

税金の最も重要な役割は実はこれです。なんならこれのみといってもいいかもしれません。
第4位や第3位は、より快適に過ごす為のオプションパーツみたいなもんです。

スタビライザー: インフレ防止で本領発揮

 

 

第1位 租税貨幣論

 

税金の最も重要な役割が出てしまった後での第1位ですが…。
なぜこれが第1位になるのかは、話を聞けば納得いただけると思います。

 

お金には三大機能というものがあります。

①交換機能(商品を買える機能)
②保存機能(価値を維持する機能)
③尺度機能(単位を定める機能)

これらは「お金」に求められる最低限の機能です。

 

それらを有効に働かせるために

①流通性(どこでも使える)
②価値担保(インフレ防止)
③単位設定(円、100円、1万円など)

が必要になってきます。

 

ただしこれらはあくまで「お金」に必要な機能や条件であり、無限に発行出来る「貸し借り記録」に価値を与える根拠を欠いています。
いうなればロボットのパーツは全て揃っているのに動かない。
必要なのは最後のピースである「心」的な何かです。

 

お金になぜ価値があるって?それはみんなが価値があると思っているから。
といった説明もよくされますが、それは流通性を満たすための条件であるかもしませんが、根本的な問いの答えにはなっていません。

 

今まで「信用貨幣論」「インフレ・デフレ」などについて見てきてきました。

「お金」とは、

・単に「貸し借りの記録」である
・それは無限に発行できる
・しかし発行者の信用で数量が制限される
・インフレになると価値が目減りする
・デフレになるとみんなお金大好きになる

 

そして、最大の疑問。

・なぜ(日本では)「円」の一強なのか
・国家と「円」を結び付けるものはなんなのか

 

その答えこそが実は、「税金の徴収」…すなわち

「徴税」というわけです。

 

政府が国民に納税義務を課し、それの決済手段を「円」と決めた瞬間から、「円」「国家」と物理的に結びつき、「円」が国内最強の通貨となるのです。

これを「租税貨幣論」といいます。

お金はみんなが価値があると思っているから価値がある。
といったまやかしのような根拠説明ではなく、しっかりと根拠が明確になっているところがポイントです。

そして国家との紐付けがきちんとされたからといって、通貨が絶対盤石になるわけでもありません。
肝心の国家がボロボロだと意味がありません。
国家の「供給能力」「財務健全性」「軍事力」などがバックボーンとなります。
「財務健全性」には不安を覚える人も多いので、それは問題ないと前回お伝えした通りです。


ただし「お金」がなんなのかというのはまだ完全に解明されたわけじゃありません。
租税貨幣論もその一説に過ぎず、今も議論中という段階です。
新興国などで「ドル通貨が通貨として成立」している例なども多々あります。
(おそらく納税解消手段となっていないにも関わらず)


「徴税」が「真のお金」に絶対必要な条件ではないかもしれませんが、「徴税」は「お金」と「国家権力」が確実に紐付けする為、むしろ「真の貨幣」の十分条件であると思われます。
(もちろんきちんと統治能力・供給能力のある国家に限る)

 

「税金」こそが「真のお金」たらしめる正体だった

 

 あれ?財源は?

 

あれ?税金って、公共事業、公務員などの給料、社会保障なんかの財源じゃなかったの?
と思いましたか? これはランク外です。

 

実は、上記の項目は別に税金から直接支払われているわけではありません。
公共事業(公的資本形成)は建設国債ですし、その他の国家予算も政府短期証券が財源です。
税金との直接的な関係はありません。(意外と衝撃の事実)

まぁ普通に冷静に考えたらおかしいですよね?
法人税にしろ、所得税にしろ税金を払うのは決算後であり、給与確定後です。
その年、その月の国家予算はどこから生まれたの?って話です。

 

ということは無税国家が出来るの?


税金は国家予算の財源ではないので、すばりやろうと思えば「出来ます」
ただし上で述べたように、「税金」は以下のような重大な役割を担っています。
・社会効率性
・全体最適性
・インフレ防止
・通貨の根拠

というわけで無税国家も可能は可能だが、もしそれをすると色んな意味でとんでもないことになるでしょうね。だから「しません」

 

というわけで、税金の役割についてお伝えしました。
投資の話からどんどん離れていっているような気が…。

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